シュートは、内角のストライクギリギリに食い込むようにコントロール良くボールを集められれば、かなりプレッシャーを感じさせることができる特殊な変化球です。
草野球でも本格的な変化で、このシュートを投げることができるピッチャーは少なく、肘や肩への負担を考慮して投げないというのも理由かもしれませんが、プロではこのシュートを他の球種と組み合わせ、効果的に使うピッチャーが存在する非常に優れた球種です。
ちなみに、MLBのアメリカにはこのシュートの球種がありません。
今回はこのシュートの握り方や、投げ方のコツについてご紹介します。
シュートとは
シュートは、ピッチャーの利き腕の方向に曲がります。
投手:右投げ・打者:右打ちの場合と、投手:左投げ・打者:左打ちの場合、市シュートの軌道により、ミートポイントがバッターの内側に食い込みます。
その為、シュートという変化球は、打ちずらく、打っても詰まり易いバッターにとっては非常に嫌な変化球です。
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シュートを投げる目的
シュートを投げることで、バッターの内側に食い込むような軌道を描くことで以下の効果を得ることができます。
内野ゴロを打たせる
ゲッツーが欲しい時に、シュートは打球を詰まらせることで内野ゴロを打たせて注文通りのゲッツーに使われることはこの球種でよく使われます
ファールを打たせる
ストライクのカウントを稼ぎたい時に、厳しいコースへシュートを投げることでファールを打たせます。
特に、アウトコース狙いの踏み込んでくる打者には抑止の効果もあり非常に有効です。
踏みこませないようにする
インコースに食い込むシュートを投げることで、インコースを強く意識させ打者の踏みこみを浅くさせます。
そして次の球をバッターから一番遠い位置のアウトコース低めのストレートを投げることで、内野ゴロや空振りを奪います。
他の球種と組み合わせる
他の球種、特にスライダーやカーブのように、シュートと逆方向に曲がる変化球と組み合わせることで、投球に横の幅の広がりを持たせます。
シュートをインコースに見せて踏みこみを浅くした後、外角にカーブを投げることで手打ちのバッティングにさせたり、空振りを奪うなどの効果があります。
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高速シュートの効果
シュートは球速が早い高速のシュートと、曲がり幅が大きい比較的遅めのシュートのどちらかを目指す必要があります。
高速シュートの曲がり幅は、ボール1個分程度とそこまで無くても、球速が早くストレートのつもりでバッターに振らせることができるので、他の球種と組み合わせがしやすく、非常に汎用性が高い球種です。
川崎憲次郎選手のシュート
川崎 憲次郎が1997年に習得したシュートは、大きな軌道を描く場合にはバッターに見逃されてしまう為、微妙に変化させバッターの芯を外すことを目的として使っていた球種です。
川崎憲次郎の代名詞とも言える球種で、習得した年の1997年には見事17勝をあげ沢村賞を受賞する大活躍を見せました。
川崎憲次郎のシュートは、感覚的に10cm程右バッターの内角にくいこませるような軌道で投げるイメージです。
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低速(曲がり幅が大きい)シュートの効果
曲がり幅は打者の目線がついてこれないくらいに大きい方がより効果的で、 特にベースをかするようなシュートを投げられれば、バックドアやフロントドアの配球も使うことができるようになり、かなり有効です。
それだけ大きな変化をさせることができるのであれば、シュートでも空振りを十分に狙うことが出来、ストレートとの球速差も使うことができるようになり大きな武器になります。
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シュートの握り方
シュートは、横回転をかければいいので、握り方にはさほどこだわらなくてもよく、どちらかと言えば握り方よりは投げ方にコツと注意が必要な変化球です。
その為、シュートの握り方自体にもバリエーションはさほど無く、ボールの縫い目に指を掛けるパターンと、縫い目に指を掛けないパターンの2種類程度です。
上記の握り方はボールの縫い目に指をかける握り方です。
シュートの投げ方
シュートは、普通にボールを投げた場合の軌道と反対の方向にボールを回転させないといけない為、意識して外向きに手首を捻って投げれば良いのですが、身体の負担は普通に投げる時の比ではありません。
その負担を軽減するためのシュートの投げ方は、大きく分けて二通りになります。
まずは、人差し指に縫い目をかけ、リリース時に人差し指に力をこめる方法で、比較的早い球速で軌道を描くシュートの投げ方で 、 手首をひねるのではなく、人差し指でボールを押すようにリリースすることで投げることができ、殆ど手首と肘をひねらないため、故障しにくいシュートの投げ方です。
もう一つが、ボールの上部をなでるように投げるカーブと比較的抜くように投げる投げ方で、球速はストレートより遅くなりますが、肘から手首にかけて外側にひねるイメージでリリースすることで、自然に曲がる曲がり幅の大きい投げ方です。
自分自身が両方の投げ方で何回か投げてみて、直感的に投げやすく身体に負担が少ないと思う方を選んで投げましょう。
シュートを投げる時の注意点
シュートは、投げる時のひねることに意識をするあまり、以下のような点が出やすくなるので注意して投げましょう。
肩が早く開く
肩が開くことでコントロールが乱れるので、注意します。
これは、シュートは利き手側に手の平を向けるように肩を開き、また、内角に厳しく投げようと意識が強くなっても肩が早く開きやすくなります。
この傾向が最も発生しやすい傾向で、投げる時に注意しましょう。
肩や肘の負担が大きい
シュートは関節をひねるような動きでリリースをするので、肩や肘に負担がかかります。
いくら便利な球種とは言え、シュートの多投に注意をしましょう。
切り札としてのシュート
シュートを相手の身体近くのインコースを狙う必要があり、実戦で使う上でどうしても必要なのがコントロールです。
コントロールが悪ければ、ただ単に死球が増えるだけのボールになります。
球速や変化幅、投球モーションはもちろんですが、 投げ始めは感覚が難しくコントロールがつけにくい球種です。
まずは、短い距離のキャッチボールからリリースの感覚を覚えるようにし、コントロールをつけていきましょう。
練習方法
コントロールをつけることが、この球種を実践で使うことの第一歩です。
その為、練習や実戦形式でチームメイトや友人にバッターボックスに立ってもらい、投げ込んで指先の感覚をつかんでいくことが非常に有効です。
その際バッターには、ヘルメットはもちろん、エルボーやプロテクターをつけてバッターボックスに入ってもらいましょう。
まずは焦らず、意図したコースにキチンと投げられるかを重視して練習するようにしましょう。
まとめ
シュートはゴロを打たせやすいため、色々な局面において大変強力な武器になる変化球です。
ですが、肩や肘への負担が大きいという弱点もあるので、多投することはあまりおすすめできません。
ここぞという肝心な場面で使えるよう、日頃の練習で狙ったコースに投げれるよう日々感覚を養い、コントロールを磨いておきましょう。