素振り
言うまでもなくバッティングの基本練習です。
タイミングを取る以前に、まず自分の基本となる「良い打ち方」を習得しておかなくてはなりません。
どれだけ速いストレートであっても、どれだけ曲がる変化球であっても、基本的にバッターが打つのはストライクゾーンを来る球です。
そこに向けて自分の良い打撃フォームでバットを当てることが、結果として良い当たりになる確率を増やすのです。
素振りには最終的にはスイングスピードを上げるという目的もあります。
自分がどういうふうに打ちたいか、どういう打ち方をすれば最も力が入るかということに点を当ててください。
スイングをして空を切る音が「ブーン、ブーン」と鳴っているものを「ビュッ、ビュットという音に変えていかなくてはなりません。
しかし、素振りはただ繰り返せばいいわけではありません。ある程度しっくりきて固まってくるまでは、自分なりにいろいろなことを微調整しながらやることが大切です。
しっくりこないと感じたら握りを変えてみたり、重心の位置を変えてみたり、ポイントを前にしたり、後ろにしたり、テイクバックを大きくしたり、試行錯誤をしながら行なう反復練習だと思ってください。
フリーバッティングなど、前からボールが来る打撃練習だけだと、どうしても来たボールに対応することのほうにだけ気を取られてしまい、なかなか良い形では打てません。
まずは素振りでしっかりした「自分の形」を作りましょう。
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ティーバッティング
1メートルほどの至近距離からのトスを打ち返す練を日本ではティーバッティングと言います。
斜め前からのトスを正面に打ち返す練習が代表的です。
試合では、18.44メートル離れたマウンドから投じられたボールをバッターは打ちますが、最初からその距離で練習してもなかなか良いスイングで打てません。
ボールをしっかりとらえて打つことに慣れるためにも、まずは近い距離から緩いボールを投げてもらうティーバッティングは大切なのです。
素振りと比べて実際にボールを打つ、叩く、運ぶという感覚が得られるのも重要です。
この練習でしっかり感覚を養っていき、徐々に距離を伸ばしていった練習がフリーバッティングで、さらにその先に実際にピッチャーのボールを打つ作業があると考えたらいいでしょう。
素振りが「良い形を作る基本」なら、ティーバッティングは「実際に打つ基本」と言えると思います。
近い距離でのティーバッティングには体をほぐすという目的もあります。次のレベルであるフリーバッティングや、マシンでのバッティングの準備に体を慣れさせるという意味で、このティーバッティングは使われます。
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置きティー
ティーバッティングと名称が似ていますが、ティーという道具にボールを固定して打つ、いわゆる「置きティー」という練習方法もあります。
この練習では非常に大切な「バッティングポイント」を確認することができます。
前に説明しましたが、一般的にインコースのボールは前のほうで引っ張り、真ん中のボールはもう少し引き付けてセンター方向、アウトコースは後ろのほうのポイントで逆方向に打ちます。
置きティーでは、自分の中で最も力が伝わるポイント、理想のポイントの位置を確認し、そこにボールを置いてしかりミートする練習をします。
例えばインコースが苦手な人は自分の体より前にティーを置いて、そのポイントで打つことを体に慣れさせます。
慣れさせてしまえば、体が反応してインコースのボールをさばけるようになってきます。
逆にアウトコースのボールを逆方向に強く打ち返したいと思う人は、ポイントを後ろのほうに下げ、ボールを力強く振り抜くという練習が有効です。
繰り返し、体に慣れさせることで各ポイントにおける良い打ち方を習得できます。
上級編として、インコースの球でも後ろのポイントで打ったり、真ん中のボールを前でも後ろでも打ったり、アウトコースを踏み込んで引っ張ってみたりといった、チームバッティングに必要となる応用的な練習にも役立ちます。
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ペッパー
これはティーハツティングよりも少し長い距離(10メートル程度)を軽く投げてもらい、その投げ手に打ち返すという練習です。
これは自分のバッティングの形云々よりは、飛んできたボールを飛んできた方向にしっかりと芯で打ち返すということを目的としています。
この練習では手の使い方が重要になります。
インサイドの球の場合、普通なら前のポイントで引っ張ってしまうわけですが、ペッパーではうまく手首を使うなりして後ろめのポイントで芯をとらえ、投げ手に返さなくてはなりません。
ボール自体は緩くてもインサイド、アウトサイド、高め、低めと、どこに来ても同じ方向に打ち返すわけですから常にバットの芯の位置を意識して考えて打たなくてはなりません。
バットコントロールは着実に上達します。
バットコントロールがつくということは、実戦で無意識にバットの芯がとこにあるか判断がつくということなので、タイミングをずらされても片手で打ったり、インコースにやや詰まりながらも抜いて打ったりということが可能になってきます。
ペッパーの目的はバットの芯がどこにあるかを体に染み付くまでおぼえ込ませ、現実に反応するレベルに持っていくということです。
この練習が得意な人は実戦でもバットコントロールがうまく、バッティングのレベルそのものも高くなります。
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ショートゲーム
ペッパーと同程度の距離から緩い球を投げてもらうのですが、異なるのは投げ手に打ち返すのではなく、フルスイングする点です。
どんな球でも自分のポイントまで引き付けて、いい当たりを打ち返さなくてはなりません。
遅い球とはいえ、あらゆるコースに対応する必要がありますから、実戦に近い状況でスイングの精度を上げていくことができます。
非常に有効な練習なので、上級者のチームではメニューに取り入れています。
また、よく耳にする「フリーバッティング」とは、もっと長い距離、マウンドの少し手前から打撃投手が技る球を打つというものです。
バッティングマシン
バッティングマシンを使った練習は、皆さんも取り入れていると思います。
ここまでご紹介した練習はこなせても、実際速いボールが来るとからっきし打てないという人は、マシンで徹底的に速球に慣れるしかありません。
また、それまでの練習で得た「形」やバットコントロールを実戦で生かすためには、やはり反復練習が必要になります。
バッティングマシンはだいたい同じタイミング、同じスピードでボールが飛んでくるので、ひたすら反復練習ができるはずです。
速いボールや変化球はとにかく体感してみることが大切なので、そういう意味でもマシンは重要です。
140km/hのボールなど見たことがないという人でも、マシンで何度も見て、繰り返し練習しているうちに慣れてしまうものです。
変化球も同様で、カーブやスライダーの軌道を何度でも体感し、慣れて苦手を克するという選手は多くいます。
バッティングセンターを大いに活用しましょう。
動画の活用
動画の活用の順番として、まず自分の理想とするバッティングフォームというものを持ちましょう。
そのためにはプロ選手のバッティングを観察することがオススメです
その中で自分の理想形はこうだな、というものを持てればよいと思います。
動画で自分のバッティングを見ると、おおむね思い描いている理想とは違っているものです。
バットが下から出ている、遠回りしている、バットの軌道がふらついている、体重が乗っていない、頭が動いてしまっている、体の開きが早い、股関節が使えていない。
自分のバッティングを「理想」と客観的に比べてみるといいと思います。
そして、できていない点を徹底的に練習するのです。
動画を撮る方向は、理想的には体の正面からと投手側からとの2方向ですが、まずは正面だけで十分でしょう。
動画の撮影を継続的に行うと、自分の良い状態とスイングが悪くなったときの比較もできるようになります。
スランプに陥って、理想のフォームを見失いそうなときも、自分の過去のフォームがヒントになったりします。
より良い打ち方になっていたり、力強いスイングになっていたりと思わぬ上達を発見したりすることもあり、大きなモチベーションにもなります。
最後に
試してみる価値のあるやり方がたくさんあり、その「組み合わせ」しだいでどんな人にもレベルアップの余地があるのがバッティングの楽しさです。
是非新しいことに挑戦する気持ちを忘れず、色々トライしてヒットを打てるようにしてみてください。