キャッチャーはグラウンドでプレーすることはもちろん、インサイドワークも非常に重要です。
特にピッチャーの投球を導くリード面は奥が深く、コツをつかめばバッターを思い通りの配球で打ちとることができる半面、ピッチャーの調子やメンタルの状況、相手バッターとの力関係などでも結果は違ってくるので、必ずしも正解があるとは言えません。
ですが、試合に勝つためには27個のアウトを着実に重ねることが必要で、その為には相手チームの情報やバッターの特徴を頭に入れ、試合展開やランナーの有無、バッターのタイミングがあっているどうかなど、ピッチャーの状態も合わせて総合的に判断してサインを出すことが求められます。
今回は、リードの基本となる5つの具体的な配球例についてご紹介します。
立ち上がりの配球
初回の立ち上がりに、データや観察力を駆使してアウトコースのボールをリードの軸にする配球です。
高めの釣り球で目線を上げ、アウトコース低めのストレートを決め球にし、カウント有利ならボールになる変化球も有効です。
配球例
1球目 | アウトコース低めのストレート |
2球目 | アウトコース低めの変化球 |
3球目 | インハイの釣り球 |
4球目 | アウトコース低めのストレート |
結果 | ストレートをひっかけて内野ゴロ |
アウトコースのボールをリードの軸にする
先発や交代したばかりのピッチャーは、どうしても硬くなりコントロールもおぼつかず、いくらブルベンや投球練習ですばらしいボールがきていても、実際にバッターに対しては違います。
このような場合では、コンディションや調子に関わらずオーソドックスなリードが必要です。
先発ピッチャーの立ちあがりでは、まず、ピッチャーがもっとも自信を持っているボールを中心に組み立てることが大事です。
ピッチャーの投球は「アウトコース低め」が、基本となるので、バッターの外側中心の配球になります。
初球から振ってくようなバッターには、多少のリスクはありますが、投げにくいインコースに立ちあがりで投げさせる方が、ピッチャーのメンタルに良い影響を及ぼす可能性もあります。
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満塁のピンチでの配球
満塁でのピンチで、強気のリードでピンチを脱する配球です。
決め球・勝負球となるようなカウントでは、ピッチャーが自信のあるボールを選ぶことが大事で、タイムをかけて間をとりピッチャーに投げたいボールを聞いておくことも重要です。
配球例
1球目 | アウトコースのストレート |
2球目 | アウトコース低めのボールになる変化球 |
3球目 | インコース内角へのボール |
4球目 | アウトコース低めのストライの変化球 |
5球目 | アウトコースギリギリのボールになるストレート |
6球目 | 真ん中低めから落ちる変化球 |
結果 | ボールになる変化球を空振りして三振 |
強気のリードでピンチを脱する
満塁でベースが埋まっている場合、得点に直結する押し出しのフォアボールは出したくない為、キヤッチャーのリードや構えも甘くなり、ピッチャーはついついボールを置きにいってしまいます。
仮に長打になれば最大四点を失うことになりますが、フォアボールならたった一点だけだと理解することが大切です。
ピッチャーに対しても「フォアボールを出すな」ではなく、「しっかりコースを狙ってこい」という強気のリードがピンチ脱出の鍵になります。
バッター心理で考えると、コントロールが乱れているピッチャーの場合や、打力に自信がないバッター以外は打ち気にはやっていることが想像でき、強打者の場合はなおさら自分で決めたいと思っていることが多くなります。
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疲れてきたピッチャーへの配球
疲れてきたピッチャーへ、厳しいコースを攻めてバッターにスイングをさせない配球で、決め球となるインコースへの投球は厳しいコースへ当たってもしかたないくらいの気持ちで投げます。
伏線となる外への遅い変化球を見せ球に使うことでバッターの裏をかく配球です。
配球例
1球目 | アウトコース低めのボールになるストレート |
2球目 | アウトコース低めの遅いストライクの変化球 |
3球目 | アウトコースギリギリのボールになるストレート |
4球目 | アウトコース低めストライクからボールになる変化球 |
5球目 | 厳しいコース・懐へのストレート |
結果 | インコースに詰まって力のないポップフライ |
厳しいコースを使ってバットを振らせない
回を重ねるごとにピッチャーの握力や体力が落ち、ボールのキレやスピードは落ちてバッターも徐々にタイミングがあってくるので、キャッチャーとしてはさらに繊細なリードが必要です。
バッターの特徴やピッチャーの球種、前の打席での配球など相手の狙い球が何かをイメージします。
スピードが速いタイプのピッチャーのストレートの球速が落ちてきた場合、遅い変化球を巧みに織り交ぜたり、変化球のキレで勝負するタイプのピッチャーの変化球が曲がらなくなってきた場合は大胆にストレートを使うことが大事です。
もともと球威のないピッチャーは、ストレートの勢いだけで押すことはできないので、厳しくインコースを攻めることが有効です。
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高低差を使った配球
高低差を使って高めにボール球を投じてバッターの目線を上げさせる配球で、決め球となるインコースへの投球は厳しいコースへ当たってもしかたないくらいの気持ちで投げます。
釣り球は、中途半端な高さに投げないように心掛け、キャッチャーは最初から中腰になって要求する高さにミットを構えます。
決め球は甘くならないようピッチャーは腕をしっかり振って、ボールを落とす変化球を投げます。
配球例
1球目 | アウトコース低めのストレート |
2球目 | アウトコース低めの変化球 |
3球目 | アウトコースへの緩い変化球 |
4球目 | インコース高めのボールになる釣り球 |
5球目 | 真ん中低めのボールになる落ちる変化球 |
結果 | 空振り三振 |
高めにボール球を投じてバッターの目線をあげる
低めへの配球は、ピッチャーの投球の基本で長打を防ぐためにも有効です。
ですが、球威がそれほどでもないピッチャーの場合は、いかに低めにコントロールしてもボール球はじっくり見極められ、ストライクゾーンは痛打を浴びてしまうこともあります。
キャッチャーのリードでは、ときに高めのボール球を使うことも有効で、その場合キャッチャーは中腰になって構え、バッターのバットが出にくい高さに、速いストレートをコントロールします。
そうすることでバッターの目線を一度あげ、次の低めへの配球を際立たせることがポイントで、次に投げる低めのボールはストレートだけでなく変化球も効果的です。
ストライクゾーンからボールゾーンに落ちてるフォークポールやスライダーなど、キレのあるボールでバットを空に切らせます。
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緩急を使った配球
緩急を遅い変化球を使い、ストレートなど速いボールとのスピードの落差で打ち取る配球です。
この配球では、初球に遅い変化球をみせることで、バッターに二球目以降の配球を考えさせます。
カウントが有利なら変化球をボールにして見せ球にし、決め球のストレートではバットを振らせません。
配球例
1球目 | アウトコース低めの遅い変化球 |
2球目 | アウトコース低めのストレート |
3球目 | アウトコースへのボールになる変化球 |
4球目 | アウトコースギリギリのキレのあるストレート |
結果 | 見逃しの三振 |
遅い変化球を使ってスピード落差で打ちとる
ストレートがプロ野球選手のように、常時150km/hを超えるピッチャーならそのまま力で抑えることもできますが、一本調子の投球ではいつか相手打線につかまってしまいます。
特に速いボールに強いバッターは、ストレートに狙い球を絞ってくるので注意が必要だです。
ピッチャーの持ち球に100km/h前後のカーブやチェンジアップがある場合、積極的に使ってカウントを稼ぐ方法があり、ストレートがMAX130km/hでも変化球とのスピードの落差は約30km/hあり、バッターはタイミングを合わせることが難しくなります。
特に初球を遅いボールから入ることで、打ち気にはやるバッターのタイミングを狂わせ、二球目以降の配球の読みを惑わすこともできます。
遅いボールを投げることは、ピッチャーとしては勇気がいることですが、キャッチャーの配球によって良い結果に導くことができます。
バッターの傾向別の配球の具体例
速いボールが強いバッターに対して、ピッチャーが力勝負ばかりしていては痛打を浴び、いくら基本となる配球でも、バッターとの相性を考慮してリードをしなければ、効果がありません。
データや観察力を駆使してリードをすることが、試合中とっても重要になるので、基本の配球の応用としてバッターの傾向別の配球も覚えておきましょう。