高低差と緩急を使った配球

高低差と緩急を使った配球

配球では、打者の錯覚を利用すると効果的で、この錯覚はコースの高低差と緩急を効果的に使うことで打者に錯覚を生み出します。

今回は、高低と球速の変化による緩急を使った配球の基本をご紹介します。

ミートの確実性を下げる低めのボール

通常、打者はバットを自分の肩より上に構えています。

高めのボールに対するスイングはバットを構えた位置から近い場所に軌道があり、高めのボールは構えた時の自分の目に近い場所へボールがきます。

その為この高めのボールは、しっかりとボールを見て最短距離でバットをぶつけていくことができるので打者の確実性が高くなり、緩い変化球が高めにいった場合には、長打を打たれる可能性も高くなります。

高めの球を打つオルティス
引用: Cliff Reyes より

逆に低めのボールは、バットを構えた位置と目の両方から遠くに執道がある為、ミートポイントまで距離があればその分、確実性が下がります。

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ミートの確実性を下げる2つの要因

この低めのボールを打つ際に確実性をさげる2つの要因についてですが、まず1つは、スイングの際重心を下げ気味にしてミートしにいかなければならないので、ボールを見ている目線に必ずブレが生じてしまう点です。

そして、もう1つは重心を下げずにバットを構えたところから、ボールに向かって落とすようにしてミートする方法ですが、この時にはミートするポイントが「点と点」になってしまいます。

どちらの場合にしても、これらの要因がある為低めのボールを確実にミートするのは難しい作業だと言えます。

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低めに偏った配球は危険

この低めのボールをミートしづらい点を考慮して、低めのボールだけを投げておけば確実と考えてしまいますが、決してそうではありません。

同じコースが何球も続けば、人間の感覚というのは必ずそれに慣れてきます。

例えば、バッティングセンターの160km/hのケージに入って、最初は「速さ」だけが印象に残り、ボールの軌道すらわからりません。

ですが、10球、20球と同じ球速のボールが続いていくと、目でボールを追えるように徐々になり、そのうちボールの軌道が感覚でわかるようになり、スイングするとバットに当たるようにもなってきます。

冒頭のお話しにもなりますが、もちろん弱点を突くという部分でも1つのコースを徹底して突くことは悪いことではありません。

しかも、それが低めであれば効果的な配球になることも多くありますが、長打を打たれたくない・とりあえず安全などの理由だけで低めだけに投げていれば、打者も配球に気づき、低めにねらいを定めてきます。

さらに同じようなボールの軌道をずっと見ていれば、スイング軌道をそれに合わせやすくもなります。

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高低差を使った配球で錯覚をおこさせる

相対的に考えれば、高めより低めの方が打たれる確率が低くなりますが、これも配球次第です。

より効果的に使うには、打者に高めを意識させることで、低めのボールをより低く感じさせることができます。

また、その逆もまた事実で、 長打を浴びるのは高めの方が多い為、高めに投げるのはバッチリーなら怖いと思いますが、打者が高めの顔の前あたりのボール球に思わずバットを出してしまうようなシーンもプロ野球でみかけることがあると思います。

高めを打つ筒香
引用: Cliff Reyes より

普通に考えても、目に近いコースの極端なボールを振るとは考えにくいことですが、低めをしっかり意識させることで、ボール球でも振らせることができます。

このように、高低差を使って打者の視線を動かし、錯覚を利用することで、打者を打ちとる確率が高くなります。

その中でも内角と外角の「内と外」よりも、高めと低めの「高低」の方が錯覚は大きくなります。

これは、「内と外」の場合は視線が横への平行移動のみで、それに対し「高低」の場合は、顔が上下し、視線が大きく上下してしまいます。

このような高低差で顔と視線が上下すると、当然、投球をラインで見ることができなくなり、ピンポイントで捉えにいくしかないので確率が大きく下がります。

また、投球の「残像」を使うこともできます。

例えばインコースの胸元にのけぞるようなボールを投げる配球をし、その後にアウトコース低めの変化球を腰が引けたような空振りをする打者が多いのは、この「残像」が残るからです。

このように、高めと低めの組み合わせををうまく配球で使うことで、より効果的な配球ができるようになります。

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打者の感覚を狂わせる緩急

「緩急」とは、打者に体感速度の錯覚を与え、「内と外」や「高低」をうまく使う配球は、打者の視覚に錯覚を与える方法です。

この緩急を使った配球というのは視覚とともに打者の感覚を狂わせることです。

投手がねらったコースにしっかり投げることができれば、打者を抑える確率は上がりますが、それと同時に「緩急」をしっかり使うことができれば多少、コントロールが甘くなっても打者のタイミングを狂わせることができます。

このように、配球を組み立てる際にもうひとつ効果的なのは、球速差で打者の感覚を狂わせる緩急です。

配球の選択肢として緩急を使う

緩急を使うことで、実際の球速よりも体感で早く・遅く感じさせることが可能です。

たとえば、110km/hの速球を135km/hの速球に感じさせ、110km/hのカーブを90km/hのスローカーブに感じさせます。配球をうまく組み立てることによって同じボールを速く見せたり、遅く見せたりができ、このように緩急が大きな武器になります。

スローカーブを投げる摂津正投手
引用: professionalbaseballpa より

ですが、この緩急を使った配球を組み立てる時には、投手と打者の実力を考えなければいけません。

というのも、圧倒的に投手の実力が上ならば何を投げても抑えることはでき、配球について深刻になる必要はありませんが、投手と打者の実力が対等か、打者が上であるならばしっかりと考えて配球をしないといけません。

基本の攻め方はアウトコースのストレートが有効ですが、プロ野球選手ではない限り、完壁にアウトコースのストレートをコントロールできる選手は多くありません。

そうすると、高低をうまく使うために投球の残像を使ったり、緩急を使ったりしないと大ケガにつながります。

スローカーブで三振をとる摂津投手
引用: professionalbaseballpa より

高低差の活かし方や、緩急はコントロールにあまり自信がなくても身につけることが可能な配球方法なので、是非効果的な方法として身につけましょう。

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