アンダースローの直球と変化球の投げ方

アンダースローの直球と変化球の投げ方

プロ野球でも、アンダースローの投手は少なく現役では牧田投手や、高橋礼投手と数えられるだけの数で、草野球も例外ではなくアンダースローのピッチャーは少なくなりますが、逆に言えばバッターも対戦数が少ない為、タイミングや球筋にも慣れていない為、アンダースローのピッチャーに有利な点が多数あります。

アンダースローのピッチングフォーム

今回は、アンダースローの直球と変化球の投げ方についてご紹介します。

アンダースローのメリットとデメリット

アンダースローは、絶対数が少ないこともあり見慣れないフォームによってバッターのタイミングをズラす事ができ、そのフォームから放たれるストレートでバッターを翻弄する事が出来ることもアンダースローの魅力です。

ここでは、アンダースローのフォームによるメリット・デメリットについてご紹介します。

アンダースローのメリット

アンダースローは、オーバーやサイドで投げる投手とは全く異なる球筋で、バッターの目線から、下から浮き上がるような軌道の為、軌道の予測がしづらく打ちにくい球筋です。

アンダースローの球筋
写真:meikyukai1978 より

特に右投手のアンダースローの場合、右バッターには背中から体の方向へ向かってくる感覚があり、これによってより打ちづらい印象を抱かせ、下から上の軌道が多い為、ワンバウンドのボールも少なくキャッチャーにとってもブロッキングの機会が少ないことも大きな特徴で、メリットです。

アンダースローのデメリット

アンダースローは、腰の回転が利用しにくいため体幹からの力がどうしても伝えにくく球速が出にくく、このフォームで投げるには体の柔軟性が必要です。

特に踏み出して着地させる足と股関節に負担が大きくかかる為、下半身の柔軟性がオーバースローよりも必要で、故障を起こしやすくなります。

アンダースローのフォームのデメリット
写真:brams west より

その為、下半身の柔軟性と強さは必須に近い条件になるのも特徴であり、デメリットです。

また、塁上に走者を背負った際のクイックモーションが非常に難しく、盗塁をされやすいこともデメリットで挙げられますが、地面スレスレのリリースポイントが特徴だった渡辺俊介選手は、フォームの無駄を減らし捕手との協力で対策を練っていました。

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アンダースローのストレート

アンダースローという投球フォームそのものが変化球と言っても良く、それを象徴しているのがアンダースローから放たれるストレートです。

ボールの握りは、オーバースローやサイドスローのボールの握りと同じで人差し指と中指の指先を縫い目に引っ掛けて握るフォーシームの握りです。

アンダースローのストレートのボールの握り
写真:せんてふ より

アンダースローのストレートはボールのリリース位置が下で、オーバースローの投手とはボールの出所がまるで異なり、バッターはボールが浮き上がってくるような感じで、高めのボール球にも手を出すこともあります。

低めのストレートも、さらに低いところから浮き上がるようにストライクゾーンに入ってくるため、非常に打ちづらい印象を持つボールになります。

アンダースローだけでなく、オーバースローやサイドスローのフォームも十人十色ですが、アンダースローもリリース位置がそれぞれ異なり、投げるモーションは自分が投げやすいことが一番ですが、低めのコースのへコントロールする為には、リリース時に利き手側に手首を捻りながら投げることもコツの一つです。

ストレートのリリース時のコツ

アンダースローのリリースポイントは、低い人から高い人までおり、同じフォームは存在せず、元千葉ロッテマリーンズの渡辺俊介選手は、さらに低く、地面すれすれの位置から投げていました。

このリリースポイントの違いだけでも、ボールの軌道は全然異なり、低い位置から投げれば投げるほど、浮き上がるような軌道になり、ソフトボールの投手の球種に下から伸び上がるライズボールがありますが、アンダースローのストレートはこのライズボールに近い軌道とも言われます。

ソフトボールのライズボールの説明
写真:テレビ東京スポーツ より

その為、アンダースローは数少ないので、打者にとっては見慣れないボールの為、ストレートそのものが変化球と言えます。

このライズボールに近いストレートの軌道で投げることは容易ではなく、もっとも求められるのは柔軟性で、肩甲骨・肩・ヒジの柔らかさ・手首の柔らかさが必要です。

中でも手首の柔軟性が重要で、リリース時に手首が寝ることで腕を伸ばすことができ、より打者の近くでリリースすることができることができますが、一方手首を立てて投げる場合、ボールをしっかりと指先で力をかけてリリースすることができるので球速が出せるので、自分に合ったリリースで、その特徴とメリットを活かしていきましょう。

アンダースローの手首のたて方のコツ

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アンダースローのカーブ

投球フォームの特性で、アンダースローで投げられる球種はオーバースローに比べて多くはなく、手首を立てるようにして捻って使う投げ方の為、一部の球種は投げることが難しくなります。

また、球種によってボールの握りを浅く握ることでボールを支えることが難しくなり、抜けてしまうこともあります。

その為、そこまで難しくなく投げられる球種はカーブ・スライダー・シュート・シンカーの4球種で、緩急をつける球種としてはカーブが一番有効です。

アンダースローで投げるカーブは、大別して2つあり、1つは横滑りするカーブで、もう1つは横滑りしながら、左斜め下に落ちる軌道を描くカーブです。

どちらのカーブの握りも人差し指と中指をくっつけるようにしてボールの外側に置き、中指をボールの縫い目にかけ薬指と親指でボールの下部を支えるようにしてボールを握ります。

アンダースローのカーブの握り

リリースは、腕と体の使い方が重要で、トップの際にグッと右の手の平が一塁側を向け、そこから右腕を振るのと同時に、手首を内側にひねり、ボールを体に巻き込むようにしてリリースします。

最後に指先でボールの下をなぞるように離し、横回転を与え投げることで、ボールの回転と腕の遠心力が加わり重力に対してコマのような回転になるので、大きく落ちるようにして逃げていく軌道を描きます。

このカーブを駆使していたのが、日本プロ野球史上5人目の投手5冠を達成した杉浦 忠氏で、変化幅が大きく下から浮き上がるストレートに、右打者の外角に逃げていく大きなカーブで活躍しました。

ストレートを投げるのと同じようにカーブもフォームによって軌道が変わり、変化量に多少の差があっても、工夫1つで球種は増えていくのはオーバースローと同じです。

カーブを使いこなすことができれば、緩急をつけたピッチングが可能になり、討ち取ることも三振を取ることも可能で、非常に有効な球種です。

アンダースローのカーブのポイント

カーブを投げる時のコツ

オーバースローはプレートを蹴ってから前に蹴り出す形が一般的ですが、アンダースローは一塁側に流れるようになるのがポイントで、この形で投げることで、下半身の粘りが使え、腕の遠心力も生まれるのでカーブがより投げやすくなります。

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アンダースローのシンカー

アンダースローのシンカーは、縫い目にそうようにして人差し指と中指を離した状態でボールを握ります。

シンカーは真っすぐと同じ軌道で最後にスッと沈んでバットの心だけを外す軌道で、空振りを取る球ではなく、内野ゴロに仕留める球種ですが、リリース時の手首の角度と握り方で軌道が大きく変わり、空振りを取りたいか打たせたいかで落とし方も変わり、球種の呼び方が同じでも変化は人それぞれです。

シンカーの握り

その中でもリリース時の手首の使い方で軌道が大きく変わり、手首が寝ていればボールを滑らせるように離せば自然とシュート回転し、そこからちょっと手首のひねりを加えれば、右打者のヒザ元に沈む軌道を描き、つまりシンカーになります。

現役時代は12年連続開幕投手を務め、アンダースローのピッチャーで日本プロ野球最多となる通算284勝を記録した山田久志氏は、この握りで最後に手首をひねるボールのリリースで、スプリットのような軌道を描くシンカーで活躍しました。

握りを同じにしても、投げられないのが変化球の面白いところで難しいところでありますが、大事なのは、どう投げるかで、自分のフォームと照らし合わせていくことが重要です。

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アンダースローのスライダー

アンダースローで一番習得しやすい変化球と言ってもよく、手首を捻らずに投げることができる球種の為怪我をしにくく、リスクも低い球種なのでアンダースローには適した球種です。

アンダースローのスライダーはツーシームの握り方で、人差し指と中指を縫い目にかけ、親指でボールの下部を支えるようにしてボールを握ります。

この握りでボールにさらに回転を加え、変化を大きくする場合には人差し指と中指をかけた縫い目からボールの内側にずらして握り、手のひらを上向きにしてボールの下を切るようにしてリリースします。

アンダースローのスライダーの握り
アンダースローのスライダーの投げ方

渡辺俊介投手この握りのスライダーを投げることで、曲がりは小さいながらもジャイロ回転がかかりアンダースローから放たれることで、バッターはタイミングが合わせづらい、遅く浮き上がってくる軌道で有効に使っていたボールです。

このようにスライダーは、アンダースローとの相性が良く、投げやすいボールです。

アンダースローで投げづらい球種

アンダースローでは投げられない球種はフォークです。

フォークは、人差し指と中指でボールを挟み回転数を抑えて投げる球種で、体を縦に使い、腕も縦に振ることでボールを抜く球種です。

その為、体と腕を横に使うアンダースローには根本的に投げられず、アンダースローでフォークを投げようとすると、シュート回転すればシンカーに、スライダー回転すればカーブのような軌道になってしまいます。

何より腕を上から振り下ろすことができないので、落ちる角度がつかず、フォークと似た軌道になっても打者に見切られてしまう可能性が高くなります。

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