ピッチャーは色々な局面で、持っている幅がものを言う場面が多くあります。
今回は、ピッチャーが知っておきたい8つの心得についてご紹介します。
点を取った直後のフォアボールは厳禁
試合に負けているときはもちろん、勝っているときでも、味方が点を取ってくれたイニングのあと、すぐに相手の先頭打者をフォアボールで出すことはいけません。
味方が得点して優位に試合を運べるような流れになっているのに、先頭打者をフォアボールで歩かせてしまうと、相手を勢いづかせることになる為です。
レベルの高い試合になればなるほどフォアボールを出さないことが重要になり、フォアボールの数の違いが、そのまま試合の優劣を決めることは珍しくありません。
たとえ先頭打者を塁に出すとしても、ヒットを打たれたほうがフォアボールを出すよりはましで、フォアボールを出すと、味方の守備のリズムを崩すことがあるからです。
味方が点を取ってくれたあとにフォアボールを与えるピッチャーは、味方から信頼を得るピッチャーにはなれないことを覚えておきましょう。
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フォアボール後の打者の1球目はウイニングショット
通常、バッティングにはフォアボールのあとの初球を狙えというセオリーがあります。
フォアボールを出したピッチャーは、次の打者にはボールを先行させてフォアボールを与えたくないため、初球から安易にストライクをとりにいくことが多いからが理由です。
この結果、ピッチャーは初球甘い球を投げ、痛打を浴びるということは少なくありません。
初球から簡単にストライクをとりにいくのは、打ってくださいといっているようなもので、フォアボールのあとの一球目は自分のいちばん得意なウイニングショットを投げるピッチングを心掛けましょう。
もし、その球をバッターが打ってきたとしてもヒットを打つのが難しく、たとえ見送られても、その後のピッチングを組み立てる上で、相手をまどわせる伏線の一球になります。
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八番バッターは確実に打ち取る
一般的に打順の九番には、打力の弱いバッターが配置される場合が多い傾向があります。
そして一番には、選球眼がよく、打率、出塁率がよく、俊足のバッターが置かれるのが常です。
では、もし相手の打順が七番から始まるとして、その回にピッチャーがもっとも気をつけて対応しなければならない八番打者への対応です。
たとえばノーアウト(七番打者が出塁)、もしくは1アウトで八番バッターをむかえたとき、絶対にやってはいけないのがフォアボールを与えることです。
もしここでフォアボールを与えてしまうと、次打者の九番バッターは、かなりの高い確率でバントをやってくることが考えられ、バントが成功すれば、1アウトもしくは、2アウトで巧打者の一番バッターをむかえることになってしまいます。
その結果、おのずと得点されるピンチをむかえることになります。
また2アウトから八番バッターをむかえ、フォアボールを出してしまうと、九番バッターをむかえたとしても、次の回は一番からの好打順になってしまうので確実に打ち取るようにしましょう。
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ピッチャーに打たせてはいけない
草野球ではクリーンアップを打つピッチャーもいますが、一般的にはピッチャーは下位打線にオーダーされることが多くあります。
その中でも、「ピッチャーは絶対に打たせてはならないバッター」という鉄則があり、“二兎を追うものは一兎も得ず”という言葉通り、ピッチャーとしての練習とバッターとしての練習を両立させることは時間的にも、体力的にも難しいからです。
当然ピッチャーは投手としての練習を重視しなければならず、バッティング練習の時間は少なくなり、だからこそピッチャーには打たれてはなりません。
そして、ヒットを一本打つだけで、ピッチャーは精神的に勢いに乗りやすくなり、ピッチングに好影響をもたらす為、打順が何番であれ、ピッチャーには絶対に打たせてはいけません。
これが試合を優位に運ぶ鉄則です。
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インコースで勝負する
インコースはバッターにとってもっとも打つのが難しい為、ストレートが速いピッチャーは、バッターのインコースをつくピッチングが非常に有効になります。
インコースはアウトコースよりも短い時間で打つ、打たないの判断をしなければなりません。
結果、インコースのボールは、必然的にボールの見極めを早くすることになり、ボールを的確にとらえにくくなり、速いストレートを体に近くに投げられると、バッターは恐怖心があるので無意識に体をのけ反らせて自分のスイングをくずすことも多くなります。
また、インコースを打つには、スイング動作の構造上どうしても窮屈になりやすく、体の正面でボールをインパクトしにくい特性があります。
その為、たとえ打ったとしてもファールになることも多いコースです。
ただしコントロールが悪いと、デッドボールを与えたりボールを続けて、結果フォアボールということにもなりかねないので、その点には十分注意しなければなりません。
アウトコースはコントロール重視
ピッチャーはどんなタイプでも必ずホームプレート上を通すか、外すかで勝負しなければいけません。
インコースで勝負するピッチャーもアウトコースがあるからこそ、インコースを生かすピッチングが可能になります。
では、アウトコースで勝負するピッチャーはスピードよりもコントロールが重要です。
その理由として、以下の二つがアウトコースのピッチングにコントロールが重要な理由です。
- アウトコースはバッターから遠いため、見極めが難しく、早いカウントからは打ってこないことが多いので、カウントをかせぐことができる。
- 有利なカウントになれば勝負球を投げることでバッターを凡打に打ちとるための有効なコースになり、2ストライクならホームプレートをかすめるような際どいコースに決まれば三振をとることもできる。
ただし、アウトコースの球も完全なボールになればバッターは見逃すことが多くなり、明らかなストライクになればヒットされる確率が高くなります。
その為アウトコースは、スピードよりもコントロールを重視して投げることが重要になります。
バッターの得意なコースの近くに盲点がある
バッターにはそれぞれ得意とする好きなコースがあり、ピッチャーはそこに投げないように気をつけてピッチングするのが鉄則になりますが、自分の好きなコースの近くに投げられたボールを打ち損じるバッターは、案外多く存在します。
これは「好きなコースにきた!」と思うとバッターは力み、本来のスイングをくずしてしまう為です。
また、バッターには好きなコースにきたボールに対して無条件に体が反応してしまう習性があるので、手元で少しボールを変化させるだけでバットの芯を外すことができます。
とくに選球眼の悪いバッターに対して好きなコースの近くに投げるのは効果的で、ダブルプレーを狙うときの配球で、まん中低めに投げると効果的になるのもこの特性を利用した投球術です。
もちろん、これはコントロールが不安定なピッチャーにはすすめられない投球術ですが、バッターが得意なコースの近くに盲点があることを覚えておくと、いざというとき自分のピッチングを助けてくれることにもなります。
さらに、カットボールやツーシームの手元で変化するボールを身につけておくことで、この投球術がさらに威力を増すことはいうまでもありません。
三振を嫌うバッターの心理を利用する
バッターは、三振することを極度に嫌がる習性が大なり小なりあります。
これは、同じアウトでも三振と外野フライでは、精神的に大きな違いがあるのが理由です。
その為、2ストライクになるとどんな球でもなりふり構わずバットを振ってくる可能性が高くなり、ピッチャーはこのバッター心理を利用するようにします。
もちろんコントロールが良い悪いなどで条件は異なりますが、たとえ一球外すとしても投げた瞬間にボール球とわかる、ただ外すだけが目的のボールは意味がないので投げない方がいいでしょう。
一球外すなら、たとえばインコース高めの速球やアウトコースの低めなど、勝負球を生かす伏線になるようなボール球を投げるのが効果的な利用になります。
バッターは打ち気にはやっているので、高めの速球は空振りすることが多く、たとえ見逃されたとしても、次にどこへ投げられるか読みにくいのが心理状態です。
その為、2ストライクに追い込んだら、「早くアウトをとりたい」と投げ急がずコースを考えて投げ、バッターを撹乱させることが大切です。