内角と外角を活かす配球の基本

内角と外角を活かす配球の基本

配球とは、打者を打ちとる確率を少しでも上げることです。

打ちとるためには打者の自身の「形」でスイングさせないようにすることが必要になってきます。

その為に、捕手は様々な準備を行う必要があります。

セオリーを踏まえ相手打者の苦手なコース、球種を選択し、時には見せ球を織り交ぜ、打者を攻めます。

球種の選択ももちろん重要ですが、それとともに大切なのは、しっかりと投げるコースを選ぶことです。

中でもまず最初に大事になってくるのが、インコースとアウトコースを使いこなすことです。

「投手に大事なのはアウトコース・ストレートの制球力」と聞いたことがあると思いますが、それはアウトコースにしっかり投げることができれば、インコースも効果的に使うことができるからです。

このように、様々な要素を組み合わせ、内角、外角、高め、低め··。ストライクゾーンを幅広く使うことが打者を打ちとる確率を高くします。

今回は、基本となる内角と外角を活かす記球の基本についてご紹介します。

ストライクゾーンを広く使う

プロ野球中継を見ていて、捕手が「ストライクゾーンを大きく使う」ようにジェスチャーで指示しているシーンを見たことがあると思います。

ストライクゾーンを広く使うことができれば、打者に錯覚を与えることができるからです。

また、「ボール1個分外」や「ボール1個分内側」という言葉を聞いたことがあると思いますが、解説者がそういうことを口にするのは、たったそれだけの違いで大きな違いが生じるからです。

このように、たったボール1個分の違いで勝負は大きく変わり、それをうまく活用すれば打者を抑える確率は上がります。

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ストライクゾーンの幅が約15cm広がる

ボール1個分というと握りこぶしほど、それなら打者も対応できるのではと考えますが、そこにホームベースの大きさも関わってきます。

ホームペースの一辺(=幅)は17インチ(=43.2cm)で、このサイズはプロ野球もアマチュア野球も統一されています。(少年野球用のホームベースは、幅38.1cmと一回り小さい)

ルール上、「ストライクとはボールの一部分がストライクゾーンを通ればい」となっていますが、ボール1個分とは約7.5cmほどで、その一部分がストライクゾーンに触れればいいので、単純に考えて「ホームベースの43.2cm+7.5cm×2」でストライクとなる範囲が約58cmにまで広がります。

一流のプロ野球選手でも、「ストライクゾーンからボールになる」変化球を追いかけて空振りしてしまうのはこの辺にも原因があり、逆に言えばこの広さを使わない手はありません。

外角スライダーを空振りする阪神ロサリオ
引用:////金豚 official youtube channel より

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錯覚が打者のスイングを鈍らせる

ホームベースの幅を広く使うことで人間の錯覚が生じてきます。

人間の視覚幅が広ければ広いほど、錯覚が生じやすくなり、たとえばインコースヘギリギリのボールを投げられた後に、アウトコースヘギリギリのボールを投げられたとします。

そうすると、この2球の間隔は、約58cmも空きます。

打者が使用するバットの長さは約84cm前後なので、決して届かない距離ではないのですが、この58cmという距離を感覚的には1mぐらいの距離に感じてしまいます。

これが錯覚で、打者にとっては一番対応しにくいものです。

この錯覚は、意識的に作り出せるものではなく、視覚の部分が反射的に生み出しているものです。

この例で言っても、インコースのあとのアウトコースを見逃したり、腰が引けたような空振りをしてしまうのはその為です。

逆に、打撃マシンのように同じコースヘ一定のボールを投げ込まれるのなら、錯覚は生じません。

また、人間には「慣れ」という修正力もあります。

同じコースに一定のリズムで130km/h近いボールを投げられても何球か見ていけば慣れてきますが、100km/hでも、インコースとアウトコースにしっかり投げわけられる投手の方が、この錯覚をうまく利用することができます。

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錯覚と恐怖心のワンセット

錯覚とともに打者を抑えるうえで配球に有効利用したいものがあります。

それが恐怖心です。

錯覚と恐怖心はワンセットと考えてもよく、たとえばアウトコースのギリギリへしっかり投げ込んだとします。

打者はかなり遠くに感じ、さらにベースから離れて立っている打者は、その離れている分だけ違く感じるはずです。

そこから一転してインコースへ投げます。

この時はそこまでコースは厳しくなくても、打者にしてみればかなり身体近くにボールがきたように感じるはずで、それまで自分の視線、意識は1m違くにあったのが、いきなり身体の近くにボールがくることになります。

これが打者に恐怖心を感じさせます。

こうなれば投手が圧倒的な有利にな利、次のボールが多少甘めになったとしても、打者の身体に恐怖心がすり込まれていれば本来のスイングができなくなります。

このように、インコースを思い切って攻める時には、錯覚と恐怖心をワンセットで使うと打者を抑える確率は上がります。

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ストライクゾーンをしっかり使って角度を使う

「角度がある投手」は、身長があり真上から投げ下ろすタイプや、サイドスローで、打者の背中からリリースされるようなタイプのピッチャーです。

体型や投球フォームによって、同じ「角度をつける」方法にも様々な方法がありますが、身体の大きさや投球フォームで角度を付けるタイプは多くいます。

そして、それだけではなくストライクゾーンの内側と外側をしっかり使うことで、打者の錯覚を生み出し、角度や奥行きを生み出すことができます。

意図をしっかり持って投げ込み、打者の錯覚を生み出すことができれば、バッテリーにとってこんなに大きな武器はなく、これを配球に活かすことでさらに打者を抑える確率を上げることができるようになります。

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