打たれないピッチングとボールの秘密

打たれないピッチングとボールの秘密

純粋により速く、狙ったところへ投げられる良いピッチングがありますが、これらとは異なったものによって、バッターが打ちにくい意味の良いピッチングというものがあります。

これは、バッターとピッチャーとのタイミングの使い方によって可能で、タイミングの要素は、投球リズム・ピッチングフォーム・ボールのキレと、大きく3つに分けられます。

マウンドでのピッチャー

今回は、打たれないピッチングとボールの秘密についてご紹介します。

投球リズム

バッターの動きや読みを狂わせる投球リズムが、良いピッチングの一つです。

これには投球のテンポや、動きの素早さ、球種といった要素があり、変化球のキレを磨いたり組み合わせたりすることで、タイミングが取りづらいピッチングが可能になります。

一時期にプロ野球の多田野数人選手が投じて話題になった、大きな山なりの弧を描く60-70km/hの超スローボールも、大きくタイミングを狂わせる球種といえ、バッター側が経験したことのない球速だった為、バッターのタイミングを外し凡打に打ち取ったシーンが象徴的です。

多田野数人選手のスローボール
写真:professionalbaseballpa より

投球リズムを変えやすいポイント

ピッチングは、通常「イチ」で足を上げ、「ニ」で生み出したパワーを体にため、「サン」で投げる「イチ、ニ、サン」のリズムで行われます。

ピッチングフォームのイラスト

打者のタイミングを外す技術の内、「ニ」の部分を調整してリズムを変えることが可能です。

「イチ」の部分はパワーをためる動作につながるため、この動作を変えることで上手くパワーをためられなかったり、フォームを崩す可能性があります。

また「サン」は生み出したパワーをボールに伝える動作のため、リズムを変えるとボールに上手くパワーを伝えられなくなる恐れがあります。

ですが、「ニ」の部分は意識だけで時間の長短をつけやすくなり、意図的に「ニ」を長くしたり短くすることで、比較的楽に打者のタイミングを外すことが可能です。

「二」のピッチングのイラスト

また3拍子ではなく、2拍子のリズムで投げてタイミングを崩す方法があります。

これはテイクバックを小さくし、クイックのようなテンポで「イチ」と「ニ」を同時に行う投げ方です。

当然ボールに伝わる力の兼ね合いが出てきますが、タイミングを外すという意味では非常に有効な方法です。

自分に合ったピッチングフォーム

人はそれぞれ固有の回転軸を持っており、それにあった軌道で腕を振ることで、下半身と腕の力を効果的に組み合わせられるようになります。

これらから投球フォームを選ぶ際には、腰の回転軸に注目して、自分に合ったピッチングフォームを身に付けましょう。

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ピッチングフォーム

良いピッチングの二つ目は、ボールの出所が見えにくく、大きなモーションとクイックのように動作の量を変えたりする動きのピッチングフォームです。

通常、全身を使うピッチングフォームが理想で、下半身を上手く使って上半身や腕に力を伝えていく投げ方が多く、このフォームに変化をつけて打者のタイミングを外す方法は、フォームを崩してしまう要因にもなり、難易度が高く習得に長い時間がかかります。

ピッチングフォームは、身体を動かし始めてからリリースまでに時間ができるため、それまでの動きの中からリリースされるボールの出所というのが非常に重要なウェイトを占め、バッターからボールの出所が見えにくいフォームが必要となります。

和田毅選手のピッチングフォーム
写真:ベルTV 2nd より

反対に、MLBの選手のピッチングを見てみると、腕を大きく振る投げ方で、下半身は腕の振りを邪魔しないステップ幅が狭い動きをよく観ます。

ステップが狭い為、上半身を傾けやすく、上半身を傾けることで腕が振れるスペースを作っていますが、このような投げ方では、ボールの出所が初めから見えてしまうという弱点があります。

そこでMLBの選手はツーシームなどの、バッターの手元で動く球種を多用することで、その弱点を補っています。

MLBのピッチャーのピッチングフォーム
写真:FLY-BALL HIGHLIGHT より

バッターの判断を遅らせる

ボールの出所は、バッターのタイミングを外す為に非常に重要です。

単純にボールの出所が見えづらいほど、コースや球種が読めなくなります。

例えばですが、110km/hの球速のボールがキャッチャーミットに収まるまでの時間は、わずか0.6秒弱だそうです。

その為、ボールの出所が見づらいほど、その秒数が縮まることでバッターは、より対応がしづらくなります。

通常バッターは、コースや球種をある程度予測して打席に入っており、ボールの握りが早く見えるほど「予測どおりであれば打つ」「予測と違えば見逃す」といった判断をする時間を与えてしまうことになります。

ボールの出所はフォームと関連しますが、極端に出所を隠すようなフォームでは、肘への負担も懸念される為、肩甲骨周りの柔軟性を高めるトレーニングと並行しながら身につける必要があります。

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ボールのキレと回転数

三つ目の要素になるのはボールのキレですが、これはボールのスピードとコントロール、そして回転数が関係します。

ボールのキレは、前提としてボールのスピードとコントロールがこれらの基礎となります。

この基礎ができ、ボールにキレが出てくることで、ボールの緩急やバッターとの駆け引きなどを行うことができます。

正しく、投球動作にムダのない正しいフォームを身につけることが、良いピッチングをするための第一の条件となりますので、反復してフォームの精度を上げていきましょう。

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