ストレッチの基礎知識

ストレッチの基礎知識

場所を選ばず、特別な道具も必要としない手軽さから、男女を問わず幅広い年代に親しまれているストレッチ。

ストレッチ(stretch)とは英語で「伸ばす」「引っ張る」という意味で、ストレッチング(stretching)はその動作をさします。

その名の通り、筋肉や関節を伸ばして身体をほぐし、柔軟性を高める運動です。ストレッチという言葉は1960年頃にアメリカで使われ始め、ボブ・アンダーソンがその著『STRETCHING』で静的ストレッチのメソッドを発表した1975年以降、急速に広まりました。

日本でも1980年代初頭から行われていましたが、現在ではスポーツやトレーニングの前後に行うウォーミングアップやクールダウンとしてはもちろん、運動不足の解消やダイエット、高齢者の健康管理、あるいは疾病や傷害後のリハビリなど、日常生活のなかで幅広い用途に用いられています。

野球でも練習前のウォーミングアップや、クールダウンに活用されており、より効果的な練習と怪我の予防の観点から絶対的に行うことが推奨されています。

ストレッチを行う野球選手

今回は、方法ではなくストレッチの上手な活用方法についてご紹介します。

スタティックストレッチとダイナミックストレッチ

ストレッチのこうした一般への広がりとともに、さまざまな種類のストレッチが開発され、近年では長らくストレッチの主流だった筋肉を伸ばして静止する「スタティックストレッチ」に加え、身体を動かしながら行う「ダイナミックストレッチ」も一般化してきました。

スタティックストレッチとは、反動や弾みをつけずに行い、気持ちのよいところで止めて10秒~30秒ほど静止する「静的」ストレッチです。

一定方向にゆっくりと伸ばし、緊張をほぐしていくため、筋肉を痛める危険が少ないのが特徴で、気分をリラックスさせる効果もあり、練習や運動後のクールダウンなどに適しています。

一方のダイナミックストレッチは、反動や弾みをつけて身体をいろいろな方向に動かして、関節の可動域を広げる「動的」ストレッチです。

ただし、反動をつけすぎると筋肉を痛めるので注意が必要で、関節まわりの筋肉を積極的に動かすことで動きをなめらかにし、血行をよくして筋肉のこりを解消することができます。

気分を高揚させる効果もあるため、練習や運動前のウォーミングアップに適しています。

この2種類のストレッチを目的や体力などに合わせて使い分けることで、より効果的なストレッチが可能になります。

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ストレッチのさまざまな効能

ストレッチには、

  • 身体を柔軟にして関節の可動域を広げる
  • 筋肉の緊張をほぐしてこりや痛みを解消する
  • 血行をよくする
  • 精神的にリラックスさせる
  • ケガや筋肉痛の予防

など、さまざまな効能があります。

まず、関節の可動域が広がれば身体の動きもより大きく、スムーズになります。

運動不足が続くと筋肉はどんどん硬くなり、身体の動きも小さくなって、スポーツ時のケガや故障はもちろん、日常生活でもつまづいたり、手足をひねったりというトラブルを招きやすくなります。

余裕のある動作は快適なだけでなく、見た目にも美しいもの。

しなやかで強い筋肉は、ピッチングやバッティングに活かせるだけでなく、姿勢の改善にもつながります。

また、筋肉がこわばると、筋肉の収縮と弛緩によって血液を送り出すポンプの役割が滞り、血液循環が悪くなって冷えやこりをおこします。

こりは痛みを生じ、その痛みが運動不足の原因となって、さらに状態を悪化させる悪循環に陥ってしまいます。

ストレッチでこりをほぐすことでこうした負の連鎖を断ち切り、首や肩、腰などの痛みをやわらげることが可能となり、こりや痛みを慢性化させないためにも、その日のうちに筋肉をほぐしておくことが大切です。

さらに、ストレッチには身体的な効果だけでなく、精神的な効果もあります。

身体を伸ばす際に行う深くゆっくりとした呼吸には、副交感神経を優位にさせて気持ちを落ち着けるリラックス効果があり、寝る前の軽いストレッチには安眠効果もあります。

ストレッチで、練習や試合前のウォーミングアップだけでなく、身体のこりと心のこりもほぐして、不眠やストレスの解消にも是非役立てましょう。

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ストレッチを効果的に行う方法

さまざまな効能をもつストレッチですが、ストレッチをより効果的に行うためには、いくつかのコツがあります。

まず大切なのは、リラックスしてできるだけストレスのない状態で始めましょう。

リラックスしながらストレッチを行う野球選手

息を止めると身体に無駄な力が入ってしまうため、自然な呼吸を心がけることも大切です。

また、身体が温まった状態で行うことでより筋肉が柔軟になり、効果がアップします。

野球の前後ではありませんが、湯船に浸かりながら身体の関節を伸ばすなどお風呂上がりのストレッチが効果的といわれるのは、このためです。

練習や試合前のウォーミングアップの場合は、いきなりストレッチをするより軽く身体を動かした後に行う方が、より効果的です。

これらのような環境を整えたら、伸ばす筋肉を意識して伸ばすところは伸ばし、固定する部分はしっかり固定して、ストレッチをします。

形だけを真似するのではなく、筋肉への負荷を意識しながら、しっかり伸ばしましょう。

ただし、いきなり強い負荷をかけるのは危険なので、1回で伸ばしきってしまうのではなく、何段階かに分けて少しずつ伸ばしていくようにします。

一見同じように見えるフォームも、少し動きを変えるだけで異なる関節や筋肉に働く場合があるので、目的となる筋肉をしっかり把握し、その部位がきちんと伸びていることを確認しながら行いましょう。

また、なるべく小さな力で大きな負荷をかけるため、「てこ」の力を応用し、できるだけ伸ばす筋肉の支点になる関節から離れた場所を押さえて行うのがコツです。

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ストレッチを行う際の注意と心構え

身体の状態は人によって、さらには日や時間によっても異なります。

ほかの人と競ったり、無理をせず、そのときの自分の状態にあったストレッチを行いましょう。

ふだん運動不足の人が急に筋を伸ばしたり、我慢して行うのは禁物です。

無理なオーバー・ストレッチは効果がないだけでなく、腱や筋を痛める原因となるだけなので、自分の身体の状態をきちんと把握して、ペースを加減をしながら行いましょう。

そして、ストレッチは毎日の積み重ねが大切です。

ストレッチを行う阪神タイガースの選手

1週間に1回、長時間行うよりも、短時間でも毎日続けるほうが効果的です。

柔軟な身体をつくるためには、毎日規則的にストレッチし、目標を立てて目指すことで、ストレッチを楽しみながら行うことができます。

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