1球ごとにキャッチャーが配球を考えサインを出し、投手がボールを投げる。
ピッチャーとキャッチャーは、この行為を1試合を通じて100回近く繰り返します。
だからこそ投手と捕手の信頼関係が重要になってきます。
投手と捕手の関係は「バッテリー」とか「夫婦関係」とも呼ばれるのはそのためで、打者を打ちとるためにはピッチャーとキャッチャーがしっかりコミュニケーションをとり、共同作業をおこなう必要があります。
仮に、キャッチャーが「このボール…」と思ってサインを出しても、投手からするとそのボールを投げたくないこともあり、またその逆もありえます。
どんなにいいボール投げられたとしても、投げるボールに納得して腕を振って投げないと、俗にいう「棒球」になって打たれる可能性が高まります。
だからこそバッテリー間の意思疎通が本当に重要です。
今回は、投手の調子に合わせた投手優先の配球についてご紹介します。
投手に気持ちよく投げさせる配球
サインが決定して投球動作を起こしてしまえば、あとは投手が投げたボールを打者が打ち返すという実質「1対1の勝負」になります。
その為、その前の段階のサインを出して配味をおこなう時に、投手のコンディションやメンタルを考慮する必要があり、投手の調子をしっかりと把握したうえでサインを決定して投球させないと、ベストなボールを投手が投げ込むことはできず、どんな好投手であっても、調子の悪いボールで打者を打ちとることは難しいはずです。
また投手には、どちらかと言えば、「自分が…」という自己主張の強いタイプが多く、そういった意味においても投手を気持ちよく投げさせることが非常に重要です。プロ野球などでも、どんどん投手に声をかけて気分を乗ってこさせ捕手を見かけます。
投手の気持ちを高めるのも、捕手の大きな仕事の1つであることは言うまでもなく、登板する投手のことを、文字通りしっかりと理解し第一に考えた配球をするのが「投手優先の配球」です。
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4タイプに分類できる投手
投手としっかりコミュニケーションをとったうえで、捕手はサインを出す必要があり、投手のコンディションや調子をしっかり把握することも重要です。
これは、キャッチャーはピッチャーの全てを知ったうえで、配球をおこなう必要がある為です。それこそが「投手優先の配球」でこの配球をおこなうためにも、まずは登板している投手がどういうタイプであるのかを知る必要があります。
昔から投手のタイプを、「力で抑えるタイプ」と「打たせてとるタイプ」の2つに分類しますが、現在は多様化が進み、2つに分類するだけでは不十分で、この「力で抑えるタイプ」と「打たせてとるタイプ」に加え、「ゴロで打ちとるタイプ」と「フライで打ちとるタイプ」の2つを加え、投手を大きく4タイプに分類する必要があります。
力で抑えるタイプ
速い速球を持ち、ストレート中心で勝負するタイプのピッチャーです。
高めのストレートで空振りをとったり、ボップフライで打ちとったりできる。
打たせて取るタイプ
タイプ変化球を自由自在に操り、内野ゴロや外野フライで打者を打ちとるタイプのピッチャーです。
ねらい球を絞らせず、1球で打者をしとめることもでき、球数を少なくできる。
ゴロで打ちとるタイプ
ツーシームなどストレート系も手元で微妙に動くことで、打者はミートすることが難しいボールを投げるタイプのピッチャーです。
バッターはボールの上をたたいて内野ゴロが多くなります。
フライで打ち取るタイプ
ストレートに角度があり加えてタイミングを外せるチェンジアップなどの球種があるタイプのピッチャーです。
バッターはボールの下側をたたいてフライになる。
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状況に応じて変幻自在の投手
また、試合中の状況に応じて4つのタイプを変幻自在に変えることができる投手もおり、メジャーリーガーで言えば、ダルビッシュ有選手がまさにそのようなタイプになります。
ランナーがいない状況などでは球数を減らすためにゴロで打ちとるパターンが多いですが、ひとたび得点圏に走者を背負った時などは、一転して150km/hを超えるストレートで三振を奪いにいきます。
試合状況をしっかりと把握したうえでタイプを変化させるまるでカメレオンのような投手で、草野球ではまずこのような投手には目にかかることはまずありません。
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その日のコンディションを見極めた配球
分類した投手のタイプによって配球をするのは基本です。
ですが、それ以上に重要なのは、その投手のコンデイションで、普段からストレートに自信を持っていたとしても、たまたまその日は球速が上がらず変化球の切れがいい場合もあります。
投手としては普段から自信のあるストレートで勝負したいところで、特にピンチを迎えた場合にはその傾向が強くなるはずで、打たれた時に自分自身で納得できるのが理由です
しかし、球速もキレもないストレートは、バッティングセンターと変わらず打ち返しやすいボールになってしまいます。
そういう状態の時は確実性のある変化球を使うのが当然であったりします。
そこの判断をしっかりおこなうのもキャッチャーとして必要なことで、このように第一にしなくてはならないのが、その日の一番いいボールをできるだけ早く見つけ出すことです。
その為、ブルペン、マウンドを通じて、ピッチャーのその日のコンディションをしっかり見極めることがこの配球をする上で最も大事になってくるのがこの方法の大前提になります。
投手心理を考えた配球
自分が苦手な球は相手打者も苦手だと思っているという、自分が打席に立っているイメージだけで配球をしているとうまくいかないことが往々にしてあります。
捕手として大事なことは、準備をしっかりして相手打者の苦手なところを攻め、捕手は投手の心理を考えないといけません。
もちろん打者としての心理も大事ですが、それ以上に配球を考える上では投手の心理を考えるようにしましょう。