野球は気持ちが大事・メンタルが大事といわれますが、それらはどんなふうに作用するのでしょうか?
時に、野球では気持ちがプレーを変えることがあります。
野球を実際にプレーしている選手であれば、気持ちの大事さは感じると思いますが、実際にメンタルがきっかけになり、技術的にも身体能力的にも選手層においても、優れたチームがそうでないチームに負けるシーンを目にします。
今回は、メンタルの重要性と基本的な気持ちの持ち方についてご紹介します。
メンタルという曖昧なものを理解する重要性
試合の中で技術的に進歩することもありますが、試合中の目立った進歩は稀で、急に身体が大きくなったり、強くなったりすることもなく、もちろん選手層も増すこともありません。
そこには、メンタルが大きく絡んでおり、ヒーローインタビューでプロ野球選手が「気持ちだけは負けないようにと思っていました」と話しているのを見ても、気持ちは大事なのだなとは理解できるると思います。
ですが、気持ちやメンタルなど、そういった心の持ち方は曖昧でかつわかりにくい部分があります。
なんとなくそういうものがあるものだとして割り切り、このメンタルとは何なのか?について考えず、この言葉が当てはまる根性がある・ハートが強い・ガッツがあるという言葉に当てはめて片付けてしまいがちです。
この言葉に当てはめてしまうことで、曖昧な理解のまま、メンタルを鍛えようと肉体をただいじめる苦行をやって、痛い思いだけをすることになってしまいます。
このことからも、曖昧な部分をきちんと考え理解することで、適切なメンタルの強化の方法や、気持ちのコントロールが可能になります。
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気持ちで負ける具体例
そこで、ピッチャーが気持ちで負けるという具体例で考えてみます。
根性や、ガッツなど、そういうものがないピッチャーで、相手は一発のある強打者がいたと想像してみましょう。
この場合は、甘いコースにいけば打たれてしまう為、「とりあえず外に投げておこう」となりますが、打ち取ろうという意思がないので、腕の振りが甘くなりますが、結果ボール球とかんたんに見極められ見送られます。
次にインコースを突ければ状況も変わりますが、「甘く入ったら危ない」という気持ちが先にきて、さらにアウトコースのボール球を重ね、カウントが悪くなったので、「歩かせたいな」と思いますが、次打者も強打者だと気づいて慌てて「フォアボールは出せないがら、ストライクゾーンの外めに」とボールを置きにいってしまいます。
腕が振れていないので、球威もなくコースも甘くなり、当然痛打を浴びることになります。
このように、状況を打開するために勝負が必要な場面で、気持ちが後ろを向くと、すべて逃げることになり、後ろ向きの気持ちは、脳から身体各部に伝達され、プレーの質も低下させ結果が悪くなるのは当たり前です。
このような状況で同じように初球をアウトコースへ投げるのであっても、「初球から外を振ってはこないだろうし、球威があれば振ってもファウル」と思考していれば、腕の振りから違ってくることで、ボールの質も変わりその後の結果も違うものになります。
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怖さに打ち勝つ重要性
ピッチャーの気持ちが前向きなら、バッターも負けてはいられません。
特にインコースのボールは気持ちのぶつかり合いがわかりやすい場面ですが、インコースは「バッターに当てたくない」という意識が働く為、ピッチャーにとって投げにくいボールです。
これはランナーを出してしまうとかいう問題ではなく、人間が根本的に恐怖心として持っているもので、これに逆らってまで投げる為、ある程度の気持ちの昂りが必要で、ピッチャーにはそれこそ気迫が必要です。
バッターも根本的にボールには当たりたくはありません。
ですが、恐怖を感じ腰が引けてしまっては、次にくるであろうアウトコースに対応できない為、恐怖を乗り越えボールに踏み込んでいく気持ちが必要になります。
また、ピッチャー、バッターが気持ちで押し合うだけではなく、野手のプレーも気持ちがあってこそです。
打球に対し、捕る・アウトにするという意識が強いからこそ、打球に飛び込み、すぐに立ち上がり送球する、というようなことができます。
同じ人であっても日常生活の中で地面に倒れこみ、痛さ・怖さもある為瞬時に立ち上がることができないのが普通です。
それを越える昂りがあるからこそ可能になり、このように野球では気持ちやメンタルが非常に重要になります。
このように、技術や身体能力に優れていても、気持ちが後ろ向きになったり、弱気になったりすると100の力が場合によっては半減以下になってしまいます。
たとえ、技術と身体能力がこの数値が70しかないチームでも、チーム全体で強い気持ちを保てれば最大限の70の力を発揮し相手に勝利することができます。